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2020/10/30 09:17

方向感を欠く展開か、好悪材料が入り混じる 無料記事

◆30日の香港マーケットは、中国の政策期待と欧米の新型コロナ感染再流行が綱引きとなり方向感を欠く展開か。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境には好悪材料が交錯する。米景気後退の警戒感がやや薄らいだことはプラスだ。米商務省が公表した7〜9月期のGDP成長率(速報値)は前期比で年率33.1%増と過去最大の伸びを記録し、市場予想(32.0%増)を上回っている。また、米労働省が発表した新規失業保険申請件数(週間)は、予想以上に前週から減少し、労働市場の改善が続いているとの見方につながった。こうした中、昨夜の米株市場では、主要指標のNYダウが前日比0.5%高と5日ぶりに反発し、ハイテク株比率の大きいナスダック指数も1.6%高と反発。引け後に決算報告するアップルやアルファベット(グーグルの持株会社)などに業績の先回り買いが入ったことも、ハイテク株全体の追い風となった。なお、決算発表を受けた値動きでは、予想を上回る増収を好感し、アルファベットが時間外取引で上昇する半面、iPhone販売が予想に届かなかったアップル株は急落するなどまちまち。NYダウ先物は安く推移している。
 他方、新型コロナウイルス感染再流行の懸念は一段と強まる状況。世界の新規感染者数は29日、初めて50万人を突破し、1日当たり感染者数としては過去最多を更新した。ドイツやフランス、イタリア、スペインなど欧州各国や米国の一部州では行動規制が再び強化されている。
 一方、29日の本土株市場は、主要指標の上海総合指数が0.1%高と小幅ながら3日続伸。中国の政策期待が相場を支えた。中国共産党の重要会議、第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)は29日に閉幕。米中対立や新型コロナウイルス禍で疲弊した経済を立て直すため、各種の刺激策が近く打ち出される――との見方が市場で流れた。また、中国・香港間の相互取引スキームを通じた売買で、香港経由の本土株売買が買い越しに転じていることも買い安心感につながっている。
 国営メディアは29日夜、5中全会のコミュニケを報道。第14次5カ年計画(2021〜25年)では、特に消費を柱とする内需を成長の重点とし、先端技術の内製化を進める方針などが明示された。
 こうしたなか、本日の香港・本土マーケットは全体として方向感を欠く展開か。上述したように、中国の政策と欧米の新型コロナ再流行が綱引きとなっている。
 なお、主要企業の決算発表はひとまず佳境を迎える。本日は、中国工商銀行(1398/HK)や中国農業銀行(1288/HK)、交通銀行(3328/HK)、招商銀行(3968/HK)、中国銀行(3988/HK)など大手行の第3四半期決算が集中する。
 このほか、あす31日には、10月の中国製造業PMIが官民で発表される予定。最新の市場コンセンサスでは、前月からやや低下する見込みだ。


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