/ 詳細
検索 (期間指定)
期間
亜州リサーチFacebook公式ページ 亜州リサーチYoutube公式チャンネル

2025/04/09 08:48

下値を探る展開か、米国の対中関税は104%に 無料記事

◆9日の香港マーケットは、米国の「対中関税104%」を不安視した売りが先行か。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境はネガティブ。米国の高関税政策で世界が動揺している。トランプ米政権は9日午前0時1分(日本時間9日午後1時1分)、「相互関税」の上乗せ分を発動する。トランプ米大統領は先ごろ、「米国に報復する国には当初よりも大幅に高い関税をかける」と自身のSNSに投稿。中国には累計104%の関税をかける方針だ。中国商務部の報道官は8日、「最後まで戦う」として、更なる対抗措置を示唆した。貿易戦争のエスカレートや、世界経済の悪化が危惧されている。
 8日の米株市場は「相互関税」の警戒感が強まり、主要指標のNYダウが前日比0.8%安と4日続落し、約1年3カ月ぶりの安値を付けた。ハイテク株比率の大きいナスダック指数は2.1%安と反落し、昨年1月以来の安値を付けている。米株市場の不安心理を表すVIX(20を超えると不安心理が高まった状態とされる通称「恐怖指数」)は前日比で11.39%高い52.33で終了。市場がパニックに近い状態とされる40を超えて推移している。
 中国銘柄もさえない。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は5.1%安と続落した。主要な香港との重複上場銘柄では、小鵬汽車(エックスポン:XPEV/NYSE、9868/HK)が7.4%安、蔚来汽車(NIO/NYSE、9866/HK)が6.6%安、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:BABA/NYSE、9988/HK)が6.2%安と下げが目立っている。
 米債券市場では、米10年債利回りが上昇(債券価格は続落)。マーケットが乱高下する中、一部投資家が債券の換金売りを進めているとの見方が出ている。ただ、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策を予想する「フェドウオッチ」では、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%利下げを決定する確率が50%を上回った(前日は40%を下回っていた)。
 商品相場は、WTI原油先物が1.8%安と4日続落。時間外取引で下げ幅を広げ、一時、約4年ぶりの安値を付けている。一方、NY金先物は0.6%高と反発した。ロンドン金属取引所(LME)では、銅やアルミなど主要産品が全面安となっている。
 一方、中国では当局が株価対策を矢継ぎ早に発表。中国人民銀行(中央銀行)の報道官は8日、政府系投資会社(SWF)の中央匯金投資による株価買い支えについて、必要に応じて十分に資金支援するという方針を示している。「国家隊」と呼ばれるSWFの一角、中央匯金投資は7日、上場投資信託(ETF)を買い増したことを明らかにした。そのほか、中国の国家金融監督管理総局は8日、保険会社の資金運用規制を緩和する方針を発表。株式投資の上限を従来の45%から今回は50%に引き上げる。そのほか、中国本土の上場企業が続々と自社株買い、または大株主による上場企業株の買い増しを発表。国営メディアの中国中央電視台(CCTV)によると、7日の取引終了後から8日午前9時30分(現地時間)までに、75社が自社株買い、20社が大株主による買い増しを発表した。今後さらに多くの上場企業が株価対策に乗り出すとみられる。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは再び下値を探る展開か。米中の関税応酬が泥沼化し、世界経済の先行き不安が高まっている。米国の対中関税104%発動で投資家のリスクオフが加速する状況だ。


内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。

関連ニュース同じカテゴリーのニュース