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2025/09/01 09:10

神経質な値動きか、米中の景況感が悪化 無料記事

◆週明け1日の香港マーケットは、米中の景況悪化で神経質な値動きか。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境はネガティブ。米経済のスタグフレーション(不況下のインフレ)懸念が再燃している。8月29日に発表された8月のシカゴ購買部協会景気指数(PMI)は41.5と前回(47.1)から大幅に低下し、景況判断の境目となる50を21カ月連続で下回った。米ミシガン大学が同日公表した8月の消費者マインド指数(確報値)は58.2と速報値(58.6)から下方修正され、3カ月ぶりの低水準となっている。一方、米商務省が発表した7月の個人消費支出(PCE)価格指数は、コア指数(食品とエネルギーを除く)の上昇率が前年比2.9%と、2月以来5カ月ぶりの大幅な伸びとなった。
 先週末29日の米株市場は、主要指標のNYダウが前日比0.2%安、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が1.1%安とそろって4日ぶりに反落している。個別では、世界最大級のテクノロジー企業、デル・テクノロジーズが8.9%安。人工知能(AI)向けサーバーの受注伸び悩みが嫌気された。
 中国銘柄はしっかり。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は1.6%高と続伸している。主要な香港との重複上場銘柄では、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:BABA/NYSE、9988/HK)が12.9%高、百度(バイドゥ:BIDU/NASDAQ、9888/HK)が4.8%高、ビリビリ(BILI/NASDAQ、9626/HK)が3.8%高と上げが目立った。電子商取引(EC)大手のアリババについては、4〜6月期決算の78%増益が材料視されている。また、AI向け半導体を開発したと伝わったこともプラス材料だ。EC事業に加え、AI事業にも業容が拡大する。
 一方、内部環境にも不安材料が浮上。週末8月31日に発表された8月の中国製造業PMIは49.4となり、前月実績(49.3)は上回ったものの、市場予想(49.5)にはとどかず、節目の50を5カ月連続で下回った。不動産市況の低迷や若年失業率の高止まりなど、内需の不振が心理悪化につながったと分析されている。今年の成長目標「5.0%前後」達成も危ぶまれる状況だ。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として神経質な値動きか。米中の景況感悪化が投資家の慎重スタンスを強めさせようだ。ただ、中国当局は経済政策を強めていることもあり、下値を叩くような売りは出ないだろう。また、アリババの好決算など業績動向に着目した物色もありそうだ。
 なお、本日の取引時間中(日本時間10時45分ごろ)に、民間集計による8月のS&Pグローバル中国製造業業PMIが公表される予定。最新の市場コンセンサスでは、7月の49.5から49.8に上向く見通しだ。


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