2025/08/29 08:59
神経質な値動きか、中国企業の業績動向が気がかり 
◆29日の香港マーケットは、中国の企業決算見極めで神経質な値動きか。(亜州リサーチ編集部)
外部環境には好材料と悪材料がある。米景気の先行き楽観が強まったことはプラス。4〜6月期の米実質国内総生産(GDP)改定値は前期比年率3.3%増となり、速報値(3.0%増)から上方修正された。新規失業保険申請件数(週間)は予想以上に前週から減少し、継続需給も減少している。一方、東欧地域の地政学リスクが高まったことはマイナス。ロシア軍は28日、ウクライナ首都のキーウに新たな大規模攻撃を実施し、複数の死傷者を出した。トランプ米大統領が主導し、和平交渉を進めていた矢先のことで、戦争状態がさらに長期化すると懸念されている。米関税政策を巡る不透明感も逆風。米政府は29日午前0時1分(日本時間29日午後1時1分)、小口輸入品の免税措置「デミニミス・ルール」を完全撤廃する。それより先、米政府は27日、ロシア制裁の一環として、同国産の原油を輸入しているインドに対し25%の追加関税(最大合計50%)を発動。ロシア産原油は中国も輸入している。そのほか、米メディアは28日、関係者の話として、米追加関税が延期中のメキシコは、中国の輸入品に課す関税を引き上げることを検討していると報じた。中国に対する強硬姿勢を示すことで、米国との通商交渉を進展させる狙いがあるとみられている。
28日の米株市場は、主要指標のNYダウが前日比0.15%高、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が0.53%高とそろって3日続伸。米経済指標の堅調が好感されたほか、米長期金利の低下基調も材料視された。米インフレ懸念がくすぶる中でも、9月利下げは確実視されているため、米債券市場では、長期金利の指標となる米10年債利回りの低下が続いている(債券価格は3日続伸)。
中国銘柄もしっかり。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は0.1%高と反発している。主要な香港との重複上場銘柄では、万国数拠HD(GDS/NASDAQ、9698/HK)が6.7%高、金山雲(キングソフト・クラウド:KC/NASDAQ、3896/HK)が4.2%高、理想汽車(リ・オート:LI/NASDAQ、2015/HK)が2.9%高と上げが目立った。
中国国内の環境も悪くない。中国景気の鈍化が懸念される中、当局は足もとで、景気刺激や産業支援の動きを強めている。中国の国務院(内閣に相当)は先ごろ、今後10年間の人工知能(AI)戦略をまとめた「『AI+』行動のさらなる実施に関する意見」を発表した。それに呼応し、「中国の半導体メーカー各社が来年に向けて、人工知能(AI)向け半導体の国内生産能力を3倍に拡大する計画を進めているもよう」とも伝わっている。ほか、江蘇省や北京市、上海市などが相次ぎ、バイオ医薬産業の育成に向けた支援策を打ち出した。
一方、香港上場する主要企業の決算は終盤を迎えている。阿里巴巴集団HD(アリババ:9988/HK)や比亜迪(BYD:1211/HK)、中国工商銀行(1398/HK)、比亜迪電子(国際)(285/HK)、長城汽車(2333/HK)、中国鉄建(1186/HK)、中国神華能源(1088/HK)、広発証券(1776/HK)、エン鉱能源集団(1171/HK)、中国中信(267/HK)、中遠海運発展(2866/HK)、上海電気集団(2727/HK)、新疆新キン鉱業(3833/HK)、中聯重科(1157/HK)、中国農業銀行(1288/HK)、雅居楽集団HD(3383/HK)、中国銀行(3988/HK)、中銀香港(2388/HK)、中国建設銀行(939/HK)、交通銀行(3328/HK)、中国東方航空(670/HK)、中国聯塑集団HD(2128/HK)、中国中鉄(390/HK)、招商銀行(3968/HK)、中遠海運能源運輸(1138/HK)、碧桂園HD(2007/HK)、龍湖集団HD(960/HK)、中国郵政儲蓄銀行(1658/HK)、などだ。
こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として神経質な値動きか。米長期金利の低下を好感した買いが先行する可能性はあるものの、アリババやBYD、中国工商銀行など主力銘柄の決算発表を前に、様子見ムードも漂いそうだ。
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。
外部環境には好材料と悪材料がある。米景気の先行き楽観が強まったことはプラス。4〜6月期の米実質国内総生産(GDP)改定値は前期比年率3.3%増となり、速報値(3.0%増)から上方修正された。新規失業保険申請件数(週間)は予想以上に前週から減少し、継続需給も減少している。一方、東欧地域の地政学リスクが高まったことはマイナス。ロシア軍は28日、ウクライナ首都のキーウに新たな大規模攻撃を実施し、複数の死傷者を出した。トランプ米大統領が主導し、和平交渉を進めていた矢先のことで、戦争状態がさらに長期化すると懸念されている。米関税政策を巡る不透明感も逆風。米政府は29日午前0時1分(日本時間29日午後1時1分)、小口輸入品の免税措置「デミニミス・ルール」を完全撤廃する。それより先、米政府は27日、ロシア制裁の一環として、同国産の原油を輸入しているインドに対し25%の追加関税(最大合計50%)を発動。ロシア産原油は中国も輸入している。そのほか、米メディアは28日、関係者の話として、米追加関税が延期中のメキシコは、中国の輸入品に課す関税を引き上げることを検討していると報じた。中国に対する強硬姿勢を示すことで、米国との通商交渉を進展させる狙いがあるとみられている。
28日の米株市場は、主要指標のNYダウが前日比0.15%高、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が0.53%高とそろって3日続伸。米経済指標の堅調が好感されたほか、米長期金利の低下基調も材料視された。米インフレ懸念がくすぶる中でも、9月利下げは確実視されているため、米債券市場では、長期金利の指標となる米10年債利回りの低下が続いている(債券価格は3日続伸)。
中国銘柄もしっかり。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は0.1%高と反発している。主要な香港との重複上場銘柄では、万国数拠HD(GDS/NASDAQ、9698/HK)が6.7%高、金山雲(キングソフト・クラウド:KC/NASDAQ、3896/HK)が4.2%高、理想汽車(リ・オート:LI/NASDAQ、2015/HK)が2.9%高と上げが目立った。
中国国内の環境も悪くない。中国景気の鈍化が懸念される中、当局は足もとで、景気刺激や産業支援の動きを強めている。中国の国務院(内閣に相当)は先ごろ、今後10年間の人工知能(AI)戦略をまとめた「『AI+』行動のさらなる実施に関する意見」を発表した。それに呼応し、「中国の半導体メーカー各社が来年に向けて、人工知能(AI)向け半導体の国内生産能力を3倍に拡大する計画を進めているもよう」とも伝わっている。ほか、江蘇省や北京市、上海市などが相次ぎ、バイオ医薬産業の育成に向けた支援策を打ち出した。
一方、香港上場する主要企業の決算は終盤を迎えている。阿里巴巴集団HD(アリババ:9988/HK)や比亜迪(BYD:1211/HK)、中国工商銀行(1398/HK)、比亜迪電子(国際)(285/HK)、長城汽車(2333/HK)、中国鉄建(1186/HK)、中国神華能源(1088/HK)、広発証券(1776/HK)、エン鉱能源集団(1171/HK)、中国中信(267/HK)、中遠海運発展(2866/HK)、上海電気集団(2727/HK)、新疆新キン鉱業(3833/HK)、中聯重科(1157/HK)、中国農業銀行(1288/HK)、雅居楽集団HD(3383/HK)、中国銀行(3988/HK)、中銀香港(2388/HK)、中国建設銀行(939/HK)、交通銀行(3328/HK)、中国東方航空(670/HK)、中国聯塑集団HD(2128/HK)、中国中鉄(390/HK)、招商銀行(3968/HK)、中遠海運能源運輸(1138/HK)、碧桂園HD(2007/HK)、龍湖集団HD(960/HK)、中国郵政儲蓄銀行(1658/HK)、などだ。
こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として神経質な値動きか。米長期金利の低下を好感した買いが先行する可能性はあるものの、アリババやBYD、中国工商銀行など主力銘柄の決算発表を前に、様子見ムードも漂いそうだ。
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