2025/03/14 08:48
下値の堅い展開か、中国の金融緩和に期待感 
◆14日の香港マーケットは、中国の金融緩和期待で下値の堅い展開か。(亜州リサーチ編集部)
外部環境はネガティブ。「トランプ関税」に端を発した貿易戦争がエスカレートしている。トランプ米大統領は13日、米国の関税強化に対抗して欧州連合(EU)が米国産ウイスキーに50%の関税を課したことに関し、EUからのワインやシャンパンに200%の関税を課す考えを示した。カナダも対抗措置を発表するなど、関税の応酬が世界経済に影を落とすと不安視されている。
13日の米株市場は、投資家のリスク回避スタンスが強まる中、主要指標のNYダウが前日比1.3%安と4日続落し、昨年9月以来の安値で終えた。ハイテク株比率の大きいナスダック指数は2.0%安と急反落している。機関投資家がベンチマークとして重視するS&P500指数は1.4%下落。2月19日に付けた史上最高値からの下落率は10.1%に達し、調整局面入りとされる10%を超えた。
中国銘柄もさえない。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は0.2%安と続落した。主要な香港との重複上場銘柄では、蔚来汽車(NIO/NYSE、9866/HK)が7.4%安、金山雲(キングソフト・クラウド:KC/NASDAQ、3896/HK)が4.5%安、理想汽車(リ・オート:LI/NASDAQ、2015/HK)が3.4%安と下げが目立っている。
米債券市場では、米10年債利回りが3日ぶりに低下(債券は上昇)。米高関税政策によるサプライチェーン(供給網)の混乱や、経済の下押しが改めて不安視され、安全資産としての債券が注目された。
商品相場は、WTI原油先物が1.7%安と3日ぶりに反落する一方、金先物は1.5%高と3日続伸した。金先物は過去最高値を更新している。ロンドン金属取引所(LME)では、銅が下落する一方、アルミが上昇するなど主要産品の値動きはまちまちだった。
内部環境には好材料が浮上。中国人民銀行(中央銀行)は13日、「適切な時期に金利と預金準備率を引き下げる」との方針を明らかにした。中国政府は今年の経済成長目標を「5%前後」としており、当局は景気浮揚に向けた施策を強化するとの期待も高まっている。
なお、中国では週明け17日、1〜2月の経済指標(小売売上高や鉱工業生産など)がまとめて公表される予定。2月は春節(旧正月)の影響で単月の発表がなかっただけに、結果に対する注目度も高まっている。そのほか、企業決算の報告も本格化。きょう14日はAIAグループ(1299/HK)や理想汽車(2015/HK)、17日は中国鉄塔(788/HK)、18日は小米集団(1810/HK)や閲文集団(772/HK)、小鵬汽車(9868/HK)、華潤ビールHD(291/HK)、中国聯通(762/HK)19日は騰訊HD(700/HK)や安踏体育用品(2020/HK)、中国平安保険(2318/HK)、金山軟件(3888/HK)、香港中華煤気(3/HK)、電能実業(6/HK)、20日は吉利汽車HD(175/HK)や中国生物製薬(1177/HK)、長江実業集団(1113/HK)、長江和記実業(1/HK)、恒基兆業地産(12/HK)、華潤電力HD(836/HK)、瑞声科技HD(2018/HK)、中国移動(941/HK)、21日は紫金鉱業集団(2899/HK)やTCL電子HD(1070/HK)、中国中煤能源(1898/HK)、中国神華能源(1088/HK)、中遠海運HD(1919/HK)、中遠海運港口(1199/HK)、洛陽欒川モリブデン業集団(3993/HK)、翰森製薬集団(3692/HK)などの期末決算が予定されている。
こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として下値の堅い展開か。「トランプ関税」の警戒感は引き続き重しとなりそうだが、中国の金融緩和期待が相場を支えそうだ。ハンセン指数は前日まで5日続落しているだけに、自律反発狙いの買いも期待できよう。
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。
外部環境はネガティブ。「トランプ関税」に端を発した貿易戦争がエスカレートしている。トランプ米大統領は13日、米国の関税強化に対抗して欧州連合(EU)が米国産ウイスキーに50%の関税を課したことに関し、EUからのワインやシャンパンに200%の関税を課す考えを示した。カナダも対抗措置を発表するなど、関税の応酬が世界経済に影を落とすと不安視されている。
13日の米株市場は、投資家のリスク回避スタンスが強まる中、主要指標のNYダウが前日比1.3%安と4日続落し、昨年9月以来の安値で終えた。ハイテク株比率の大きいナスダック指数は2.0%安と急反落している。機関投資家がベンチマークとして重視するS&P500指数は1.4%下落。2月19日に付けた史上最高値からの下落率は10.1%に達し、調整局面入りとされる10%を超えた。
中国銘柄もさえない。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は0.2%安と続落した。主要な香港との重複上場銘柄では、蔚来汽車(NIO/NYSE、9866/HK)が7.4%安、金山雲(キングソフト・クラウド:KC/NASDAQ、3896/HK)が4.5%安、理想汽車(リ・オート:LI/NASDAQ、2015/HK)が3.4%安と下げが目立っている。
米債券市場では、米10年債利回りが3日ぶりに低下(債券は上昇)。米高関税政策によるサプライチェーン(供給網)の混乱や、経済の下押しが改めて不安視され、安全資産としての債券が注目された。
商品相場は、WTI原油先物が1.7%安と3日ぶりに反落する一方、金先物は1.5%高と3日続伸した。金先物は過去最高値を更新している。ロンドン金属取引所(LME)では、銅が下落する一方、アルミが上昇するなど主要産品の値動きはまちまちだった。
内部環境には好材料が浮上。中国人民銀行(中央銀行)は13日、「適切な時期に金利と預金準備率を引き下げる」との方針を明らかにした。中国政府は今年の経済成長目標を「5%前後」としており、当局は景気浮揚に向けた施策を強化するとの期待も高まっている。
なお、中国では週明け17日、1〜2月の経済指標(小売売上高や鉱工業生産など)がまとめて公表される予定。2月は春節(旧正月)の影響で単月の発表がなかっただけに、結果に対する注目度も高まっている。そのほか、企業決算の報告も本格化。きょう14日はAIAグループ(1299/HK)や理想汽車(2015/HK)、17日は中国鉄塔(788/HK)、18日は小米集団(1810/HK)や閲文集団(772/HK)、小鵬汽車(9868/HK)、華潤ビールHD(291/HK)、中国聯通(762/HK)19日は騰訊HD(700/HK)や安踏体育用品(2020/HK)、中国平安保険(2318/HK)、金山軟件(3888/HK)、香港中華煤気(3/HK)、電能実業(6/HK)、20日は吉利汽車HD(175/HK)や中国生物製薬(1177/HK)、長江実業集団(1113/HK)、長江和記実業(1/HK)、恒基兆業地産(12/HK)、華潤電力HD(836/HK)、瑞声科技HD(2018/HK)、中国移動(941/HK)、21日は紫金鉱業集団(2899/HK)やTCL電子HD(1070/HK)、中国中煤能源(1898/HK)、中国神華能源(1088/HK)、中遠海運HD(1919/HK)、中遠海運港口(1199/HK)、洛陽欒川モリブデン業集団(3993/HK)、翰森製薬集団(3692/HK)などの期末決算が予定されている。
こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として下値の堅い展開か。「トランプ関税」の警戒感は引き続き重しとなりそうだが、中国の金融緩和期待が相場を支えそうだ。ハンセン指数は前日まで5日続落しているだけに、自律反発狙いの買いも期待できよう。
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