◆12日の香港マーケットは、新規材料に乏しい中で上値の重い展開か。(亜州リサーチ編集部)
　外部環境は中立。11日の米株市場は、景気や金利の動向をにらみながら方向感を欠く展開だった。主要指標のNYダウが前日比0.3％高と続伸する一方、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が0.4％安と反落している。パウエル米連邦準備理事会（FRB）は米上院で議会証言し、米経済は堅調を保っているとして、利下げを急ぐ必要はないと再表明。利下げ後ずれ観測と米景気の楽観が綱引きとなった。この日の米債券市場では、米10年債利回りが上昇している。また、物価統計の見極めも投資家の様子見スタンスを強めた。米国では今週、12日に1月の消費者物価指数（CPI）、13日に同月の生産者物価指数（PPI）が公表される。
　中国銘柄はさえない。中国企業のADR（米国預託証券）で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数（HXC）は1.7％安と4日ぶりに反落した。主要な香港との重複上場銘柄では、小鵬汽車（XPEV/NYSE、9868/HK）が6.8％安、蔚来汽車（NIO/NYSE、9866/HK）が6.7％安、理想汽車（リ・オート：LI/NASDAQ、2015/HK）が4.9％安、百度（バイドゥ：BIDU/NASDAQ、9888/HK）が4.7％安と下げが目立っている。
　商品相場は、WTI原油先物が1.4％高と3日続伸する一方、金先物は0.1％安と3日ぶりに小反落した。ロンドン金属取引所（LME）では、銅やアルミなど主要産品が概ね下落している。
　内部環境に新規材料は乏しい。中国の新興企業が開発した生成AI（人工知能）の大規模言語モデル（LLM）に対する期待感は根強いものの、足元では関連銘柄の物色が一巡した。また、今月は小売や鉱工業生産などの経済指標が春節（旧正月）の影響で発表されない（1月・2月分と合算で発表）ほか、各種政策を決定する全国人民代表大会（全人代、国会に相当）が3月5日に開幕することもあり、模様眺めのムードも漂っている。
　こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として上値の重い展開か。新規の買い材料を欠く中、積極的な売買が手控えられそうだ。また、前日引け後に公表された中芯国際集成電路製造（SMIC：981/HK）の10〜12月期決算は38％減益で着地。ハイテク分野の主力株ということもあり、株価動向が注目される。


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