◆17日の香港マーケットは、内外の不安材料で上値の重い展開か。(亜州リサーチ編集部)
　外部環境は中立。16日の米株市場は、好悪材料が入り混じる中でまちまちの展開だった。主要指標のNYダウが前営業日比0.3％高と8日続落する一方、ハイテク株比率の大きいナスダック指数は1.2％高と続伸し、11日以来の史上最高値を更新している。米連邦公開市場委員会（FOMC）は17〜18日に開催。0.25％の利下げは確実視されているが、その後の金利見通しが不透明だ。米債券市場では米10年債利回りが高止まりしている。個別では、医療を巡る利害関係者の間に立つ薬剤給付管理（PBM）関連の銘柄が急落し、ヘルスケアのユナイテッドヘルス・グループが4.2％安で引けた。トランプ次期米大統領が16日、製薬業界の「中間業者」をノックアウトすると発言したことが売り材料視されている。半面、トランプ新政権による規制緩和の恩恵があるとして、電気自動車のテスラは6.1％高と急伸した。また、暗号資産（仮想通貨）ビットコインが過去最高値値を更新したこともハイテク株の追い風。トランプ氏がビットコインの戦略備蓄に言及したことが思惑を呼んだ。
　中国銘柄はさえない。中国企業のADR（米国預託証券）で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数（HXC）は2.2％安と続落した。主要な香港との重複上場銘柄では、微博（ウェイボー：9898/HK、WB/NASDAQ）が3.2％安、ビリビリ（9626/HK、BILI/NASDAQ）が3.0％安、百度（バイドゥ：9888/HK、BIDU/NASDAQ）が2.7％安と下げが目立っている。
　商品相場は、原油相場が0.8％安と反落し、金先物が0.2％安と3日続落。ロンドン金属取引所（LME）では、銅が上昇する一方アルミが下落するなど主要産品がまちまちだった。
　内部環境は不透明。中国景気の鈍化懸念が強まっている。16日までに公表された経済統計では、鉱工業生産は伸びが加速したものの、小売は予想外の減速。金融も予想を下回り、1〜11月の不動産開発投資はマイナスが拡大した。ただ、政策期待は根強い。当局は預金準備率や政策金利の引き下げるとの観測が高まっている。
　こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体として上値の重い展開か。米ハイテク株高は好材料だが、米金融政策の不透明感や、中国の景気鈍化懸念が投資家心理を冷やしそうだ。


内容についてのお問い合わせは＜info@ashuir.com＞まで。