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2024/11/07 09:01

売り先行か、米国の関税強化を警戒 無料記事

◆7日の香港マーケットは、米国の対中関税を懸念した売りが先行する流れか。(亜州リサーチ編集部)
 外部環境はポジティブ。6日の米株市場は、トランプ前大統領の返り咲きで経済政策の強化が期待される展開だった。主要指標のNYダウが前日比3.6%高と急反発し、2週半ぶりに史上最高値を更新。ハイテク株比率の大きいナスダック指数も3.0%高と反発し、1週ぶりに最高値を更新している。接戦が伝えられた米大統領選は5日投開票され、野党・共和党候補のトランプ前大統領が激戦州のうち半数以上を制し、当選を確実にした。トランプ氏が掲げる減税や規制緩和、国内産業保護などの政策が景気を押し上げると期待され、金融株や景気敏感株などが急伸している。個別ではテスラ株が14.8%高。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がトランプ氏を全面支援していたことが材料視された。
 ただ、対外的には懸念材料がある。トランプ氏の公約では、中国からの輸入品に一律60%超の関税をかけ、そのほかの国からの輸入品にも10〜20%の関税を課す。貿易戦争の警戒感が高まる状況だ。欧州市場では、主要株価指数がそろって下落している。
 中国銘柄はさえない。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は1.8%安と4日ぶりに反落した。主要な香港との重複上場銘柄では、蔚来汽車(9866/HK、NIO/NYSE)が5.3%安、ビリビリ(9626/HK、BILI/NASDAQ)が4.6%安、京東集団(JDドットコム:9618/HK、JD:NASDAQ)が3.4%安と下げが目立っている。
 商品相場に関しては、原油相場が0.4%安で6日ぶりに反落し、金先物も反落。ロンドン金属取引所(LME)では、銅やアルミなど主要産品が総じて下落した。
 内部的には経済対策の期待感が高まっている。4日に開幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会の第12回会議に関しては、最終日(8日)に国営メディアが詳細を報じる予定。6兆〜10兆人民元規模の財政政策が打ち出されるとの見方だが、米大統領選で対中強硬派のトランプ氏が勝利したことで、市場関係者からは、より規模の大きい財政出動が決まる可能性も指摘された。
 こうした中、本日の香港・本土マーケットは米国の関税を警戒し売り先行か。トランプ政権誕生で対中関税が強化されるとの不安が続くほか、米長期金利の上昇や人民元安の進行も懸念材料だ。ただ、中国の経済対策に対する期待感も根強く、下値を叩くような売りはみられないだろう。8日発表される中国の財政政策を注視したい。


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