2025/06/12 08:53
上値の重い展開か、好材料出尽くしで売り圧力も意識 
◆12日の香港マーケットは、売り圧力意識で上値の重い展開か。(亜州リサーチ編集部)
外部環境には好悪材料が入り混じる。米関税政策の警戒感がやや薄れたことはプラスだ。貿易問題を巡り、10日(日本時間11日朝方)まで開かれた米中の閣僚級協議では、両国が5月に合意した内容を確実に実行することで意見が一致。トランプ米大統領はその後、貿易摩擦緩和に向けた「枠組み」は自身と中国の習近平・国家主席の承認を経て完了し、レアアース(希土類)問題も解決するとの見解をSNSに投稿した。また、ベッセント米財務長官は11日(日本時間12日朝方)、貿易相手国が米政権に対し誠意を持って交渉している場合、相互関税を一時停止する90日の猶予期間(期限は7月8日)をさらに延長する可能性があると示唆している。一方、中東地域の地政学リスクが高まっていることはネガティブ。イラン国防軍需相は11日、米国との核協議がとん挫し、米との間に紛争が生じた場合、中東地域の米軍基地を攻撃すると警告した。米政府は在イラク米大使館の一部職員に退避命令を出している。
10日の米株市場は、主要指標のNYダウが前日比1ドル安とほぼ横ばいで、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が0.5%安と4日ぶりに反落した。このところ上昇が続いたハイテク株の一角などに利益確定売りが出て全体相場の重しとなっている。中東地域の地政学リスク浮上も逆風だ。ただ、指数は小高く推移する場面もみられている、米中協議の進展に加え、インフレ懸念の後退も材料視された。5月の米消費者物価指数(CPI)は市場予想を下回り、米債券市場では米10年債利回りが低下している(債券価格は上昇)。米利下げ期待も再び高まった。
中国銘柄はしっかり。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は0.1%高と3日続伸した。主要な香港との重複上場銘柄では、ビリビリ(BILI/NASDAQ、9626/HK)が8.3%高、万国数拠HD(GDS/NASDAQ、9698/HK)が2.7%高、騰訊音楽娯楽集団(テンセント・ミュージック:TME/NYSE、1698/HK)が1.3%高と上げが目立っている。
商品相場は、地政学リスクの浮上などでWTI原油先物が4.9%高と急反発。NY金先物も0.3米ドル高と小幅ながら反発した。
一方、内部的には新規の取引材料に乏しい。中国では週明け16日、5月の小売売上高や鉱工業生産などが公表される。市場コンセンサス予想では、4月実績をやや下回る見込みだ。
こうした中、本日の香港マーケットは全体として上値の重い展開か。指数はこのところの上昇で、売り圧力が高まっている(前日はハンセン指数が約3カ月ぶり、上海総合指数が約1カ月ぶりの高値)。米関税政策の警戒感が薄れたことは引き続き支えとなりそうだが、好材料の出尽くし感も意識されそうだ。
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。
外部環境には好悪材料が入り混じる。米関税政策の警戒感がやや薄れたことはプラスだ。貿易問題を巡り、10日(日本時間11日朝方)まで開かれた米中の閣僚級協議では、両国が5月に合意した内容を確実に実行することで意見が一致。トランプ米大統領はその後、貿易摩擦緩和に向けた「枠組み」は自身と中国の習近平・国家主席の承認を経て完了し、レアアース(希土類)問題も解決するとの見解をSNSに投稿した。また、ベッセント米財務長官は11日(日本時間12日朝方)、貿易相手国が米政権に対し誠意を持って交渉している場合、相互関税を一時停止する90日の猶予期間(期限は7月8日)をさらに延長する可能性があると示唆している。一方、中東地域の地政学リスクが高まっていることはネガティブ。イラン国防軍需相は11日、米国との核協議がとん挫し、米との間に紛争が生じた場合、中東地域の米軍基地を攻撃すると警告した。米政府は在イラク米大使館の一部職員に退避命令を出している。
10日の米株市場は、主要指標のNYダウが前日比1ドル安とほぼ横ばいで、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が0.5%安と4日ぶりに反落した。このところ上昇が続いたハイテク株の一角などに利益確定売りが出て全体相場の重しとなっている。中東地域の地政学リスク浮上も逆風だ。ただ、指数は小高く推移する場面もみられている、米中協議の進展に加え、インフレ懸念の後退も材料視された。5月の米消費者物価指数(CPI)は市場予想を下回り、米債券市場では米10年債利回りが低下している(債券価格は上昇)。米利下げ期待も再び高まった。
中国銘柄はしっかり。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は0.1%高と3日続伸した。主要な香港との重複上場銘柄では、ビリビリ(BILI/NASDAQ、9626/HK)が8.3%高、万国数拠HD(GDS/NASDAQ、9698/HK)が2.7%高、騰訊音楽娯楽集団(テンセント・ミュージック:TME/NYSE、1698/HK)が1.3%高と上げが目立っている。
商品相場は、地政学リスクの浮上などでWTI原油先物が4.9%高と急反発。NY金先物も0.3米ドル高と小幅ながら反発した。
一方、内部的には新規の取引材料に乏しい。中国では週明け16日、5月の小売売上高や鉱工業生産などが公表される。市場コンセンサス予想では、4月実績をやや下回る見込みだ。
こうした中、本日の香港マーケットは全体として上値の重い展開か。指数はこのところの上昇で、売り圧力が高まっている(前日はハンセン指数が約3カ月ぶり、上海総合指数が約1カ月ぶりの高値)。米関税政策の警戒感が薄れたことは引き続き支えとなりそうだが、好材料の出尽くし感も意識されそうだ。
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