◆23日の香港マーケットは、中国の政策期待でしっかりか。(亜州リサーチ編集部)
　外部環境はポジティブ。22日の米株市場は、人工知能（AI）インフラ投資計画の期待感や企業決算の好調が投資家心理を上向かせる展開だった。主要指標のNYダウが前日比0.3％高、ハイテク株比率の大きいナスダック指数が1.3％高と3日続伸している。機関投資家がベンチマークとして重視するS&P500指数は0.6％上昇し、取引時間中に史上最高値を更新する場面があった。トランプ米大統領は21日、AI開発に向けた巨額のインフラ投資計画を発表。ソフトバンクグループやオープンAI、オラクルなどが共同出資会社を設立して5000億米ドル（約78兆2233億円）を投資し、AIに向けたインフラを整備する。オラクルやエヌビディアなど関連銘柄に買いが集まった。また、主要企業の四半期決算発表がシーズン入りする中、好業績銘柄の物色も目立っている。有料会員数の伸びが予想を大幅に上回り、利益を売上高も上振れた動画配信のネットフリックスが9.7％高と急伸した。
　一方、中国銘柄はさえない。中国企業のADR（米国預託証券）で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数（HXC）は0.7％安と続落した。主要な香港との重複上場銘柄では、理想汽車（リ・オート：2015/HK、LI/NASDAQ）が4.9％安、ビリビリ（BILI/NASDAQ、9626/HK）が4.3％安、小鵬汽車（XPEV/NYSE、9868/HK）が3.1％安と下げが目立っている。
　商品相場は、この日から期近が3月物となったWTI原油先物が0.5％下落する一方、金先物が0.4％高と続伸。金先物は一時、3カ月ぶりの高値を付けた。ロンドン金属取引所（LME）では、銅やアルミなど主要産品が概ね下落している。
　内部環境も悪くない。金融緩和の期待感が高まっている。中国人民銀行（中央銀行）は28日から始まる春節（旧正月）の大型連休前に、預金準備率を引き下げるとの観測が根強い。また人民銀は22日、14日物リバースレポを通じ、満期分との差し引きで1980億人民元を市場に供給している。そのほか、当局の株価対策もプラス材料。金融当局は22日、大手国有保険会社などに、A株市場への投資を増やすよう指導すると発表した。
　こうした中、本日の香港・本土マーケットは全体としてしっかりとした展開か。トランプ大統領が中国からの輸入品に10％の追加関税を課すことを検討していると述べたことなどは引き続き重しとなるものの、中国の政策期待が相場を支えよう。


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