2025/05/22 08:49
売り先行か、日米欧の金利高を懸念 
◆22日の香港マーケットは、世界的な金利高を嫌気した売りが先行する流れか。(亜州リサーチ編集部)
外部環境はネガティブ。日米欧など世界的な金利高が不安材料だ。トランプ米政権の高関税政策が世界のサプライチェーン(供給網)を混乱させ、インフレ圧力を高めるとの見方がくすぶっている。21日の米債券市場では、米10年債利回りの上昇が続き(債券価格は続落)、2月中旬以来、約3カ月ぶりの高水準を付けた。インフレ懸念に加え、トランプ米大統領が掲げる大型減税策で財政が悪化するとの不安も債券売りに拍車をかけている。欧州中央銀行(ECB)が21日公表した「金融安定報告」では、トランプ関税の影響を受け、投資家が米資産のリスクに対する懸念を強めていると分析。影響は広範に及ぶ恐れもあると警告した。
同日の米株市場では、主要指標のNYダウが前日比1.9安と続落。ハイテク株比率の大きいナスダック指数も1.4%安と続落した。株安、債券安に加え、通貨の米ドル売りも加速し、トリプル安となっている。米株市場の不安心理を表すVIX(20を超えると不安心理が高まった状態とされる通称「恐怖指数」)は20.87となり、前日比で15.4%上昇。5月9日以来、約2週ぶりに節目の20を上回った。
中国銘柄もさえない。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は0.7%安と3日続落した。主要な香港との重複上場銘柄では、百度(バイドゥ:BIDU/NASDAQ、9888/HK)が4.3%安、中通快逓(開曼)(ZTO/NYSE、2057/HK)が2.7%安、新東方教育科技集団(EDU/NYSE、9901/HK)が1.5%安と下げが目立っている。百度が発表した1〜3月期決算は市場予想を上回る42%増益だったが、好感する買いは限定された。半面、小鵬汽車(XPEV/NYSE、9868/HK)は13.0%高と急伸。同社の1〜3月期決算は赤字だったが予想ほどではなく、売上高は上振れた。4〜6月期の売上高見通しも予想を上回っている。
商品相場は、この日から期近となった7月物のWTI原油先物が0.7%安と下落した。NY金先物は0.9%高と3日続伸。金先物は米トリプル安を受け、安全資産としての魅力が一段と高まった。
一方、内部環境に新規材料は乏しいが、中国の政策に対する期待感は持続している。中国人民銀行(中央銀行)は20日、最優遇貸出金利「ローンプライムレート(LPR)」を引き下げた。一部のブローカーは、中国の2025年経済成長見通しを上方修正したうえで、金融当局は更に緩和を進めると予測している。
こうした中、本日の香港・本土マーケットは売りが先行しそうだ。世界的な金利高が懸念材料だ。また、貿易問題を巡る米中協議の進ちょくも気がかり材料として意識されよう。
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。
外部環境はネガティブ。日米欧など世界的な金利高が不安材料だ。トランプ米政権の高関税政策が世界のサプライチェーン(供給網)を混乱させ、インフレ圧力を高めるとの見方がくすぶっている。21日の米債券市場では、米10年債利回りの上昇が続き(債券価格は続落)、2月中旬以来、約3カ月ぶりの高水準を付けた。インフレ懸念に加え、トランプ米大統領が掲げる大型減税策で財政が悪化するとの不安も債券売りに拍車をかけている。欧州中央銀行(ECB)が21日公表した「金融安定報告」では、トランプ関税の影響を受け、投資家が米資産のリスクに対する懸念を強めていると分析。影響は広範に及ぶ恐れもあると警告した。
同日の米株市場では、主要指標のNYダウが前日比1.9安と続落。ハイテク株比率の大きいナスダック指数も1.4%安と続落した。株安、債券安に加え、通貨の米ドル売りも加速し、トリプル安となっている。米株市場の不安心理を表すVIX(20を超えると不安心理が高まった状態とされる通称「恐怖指数」)は20.87となり、前日比で15.4%上昇。5月9日以来、約2週ぶりに節目の20を上回った。
中国銘柄もさえない。中国企業のADR(米国預託証券)で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC)は0.7%安と3日続落した。主要な香港との重複上場銘柄では、百度(バイドゥ:BIDU/NASDAQ、9888/HK)が4.3%安、中通快逓(開曼)(ZTO/NYSE、2057/HK)が2.7%安、新東方教育科技集団(EDU/NYSE、9901/HK)が1.5%安と下げが目立っている。百度が発表した1〜3月期決算は市場予想を上回る42%増益だったが、好感する買いは限定された。半面、小鵬汽車(XPEV/NYSE、9868/HK)は13.0%高と急伸。同社の1〜3月期決算は赤字だったが予想ほどではなく、売上高は上振れた。4〜6月期の売上高見通しも予想を上回っている。
商品相場は、この日から期近となった7月物のWTI原油先物が0.7%安と下落した。NY金先物は0.9%高と3日続伸。金先物は米トリプル安を受け、安全資産としての魅力が一段と高まった。
一方、内部環境に新規材料は乏しいが、中国の政策に対する期待感は持続している。中国人民銀行(中央銀行)は20日、最優遇貸出金利「ローンプライムレート(LPR)」を引き下げた。一部のブローカーは、中国の2025年経済成長見通しを上方修正したうえで、金融当局は更に緩和を進めると予測している。
こうした中、本日の香港・本土マーケットは売りが先行しそうだ。世界的な金利高が懸念材料だ。また、貿易問題を巡る米中協議の進ちょくも気がかり材料として意識されよう。
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